川崎フットボールアディクト創刊のお知らせ

ご存知の方も多いかとは思いますが、JsGOALが1月末をもって更新を終了し、新サイトの方に統合される事となりました。
Jリーグの取材情報を記事として公開する場として、本当にお世話になってきました。

JsGOALには感謝の気持ちしか無いのですが、そのJsGOALもホームゲームのみの取り扱いということで情報の半分は出せないという状況があったため前から川崎フロンターレ専用のニュースサイトを立ち上げようとは考えていました。

今回、いろんなタイミングが一致して、Webマガジンという形で、サイトを立ち上げる事になりました。声をかけていただき、クラブ側にも理解していただき了解をもらえました。掛け持ちもOKだと言われていたJsGOALの統合による運用の停止は想定外でしたが、そんな動きの中でできたのが川崎フットボールアディクトというサイトになります。

未来の「なでしこ」のために


ワールドカップを戦うなでしこジャパンの心を支えたのが、被災地の映像が収められたモチベーションビデオだった。

なでしこジャパンの歴史に先んじて収められた被災地の映像は、佐々木則夫監督の「本当に苦しい時は、被災者の方々のことを思って頑張れ」との言葉と共に彼女たちの気持ちを鼓舞した。

そして、そうしたビデオを見ることで被災地の惨状を理解し、サッカーができる環境に対する喜びを再認識した選手がいる。#9川澄奈穂美選手である。

知らない人もおられるかもしれないので一応解説しておくと、先制された準決勝のスウェーデン戦で同点ゴールと3点目のロングシュートを決めたあの選手である。

川澄選手は「震災があった事で、当たり前にサッカーできていることが、当たり前じゃない人たちもいるという事を再認識できました。サッカーをできる喜びを感じました」と話す。

人間、そこに当たり前にあるものの価値はなかなか見えないもの。だからこそ、彼女は震災という未曽有の悲劇を奇貨として自分たちがサッカーをできているその幸せを噛み締めてピッチに立っていたのである。

そもそも、「サッカーができる喜び」という観点については、女子の選手がより強く感じているようである。

例えば帰国会見において「女子は待遇が厳しい状況にある。この偉業に対し待遇の改善について協会としては何を考えているのか。選手としては、何を変えてほしいのでしょうか」との質問が出る。率直に言って、これは金銭面のバックアップについての質問なのだろうと考えた。

そして指名された上田栄治団長も何かを察し、大仁邦彌副会長に質問を振ろうとするのである。結局この質問に回答した上田氏は「答えづらいが、できるだけ環境改善に取り組みたい」と述べている。

それに対し、選手の立場からコメントを求められた#10・澤穂希選手は「なでしこジャパンがワールドカップで優勝しましたし、未来ある女の子がサッカーに興味を持つと思う。サッカーする女の子をもっと増やしたい」と答え、それに続いて「中学でサッカーができる環境がなくなる。そこに力を入れていただければと思います」と答えるのである。金銭面の改善には一切言及せずに。

意外な発言ではあったが、小学校から中学校に進級した際の競技環境の問題は女子のサッカー界では昔から知られた課題であり、それに澤選手が言及する事は、サッカーと共に生きてきた彼女なら当然のことなのかもしれなかった。

そして同じような事を川澄選手も口にするのである。

冒頭にも紹介した川澄選手の「サッカーをできる喜びを感じました」という言葉は、そもそも女子選手が身近に感じてきた問題なのである。例えばその川澄選手の場合、小学校から中学校への進学の際にサッカー部の問題に直面しているのである。つまり彼女が進む中学校にはサッカー部がなかったのである。しかし、熱心な小学校時代の指導者が中学校にサッカー部を作ってくれたことで、川澄選手は長距離を通わずにサッカーを続けられたのだという。

そして、そんなエピソードに続いて「自分たちの待遇というよりも、底辺の拡大のほうが大事です。プレーの場が増えて欲しいです」と話すのである。

自分たちの金銭面の待遇は二の次で、サッカーをしたくても続けられない後輩たちに心置きなくプレーを続けられる環境を作りたいと考えているのである。そのために、色々な資源を投じて欲しいと願うのである。

あれだけの偉業を達成しながらも、全く私利私欲を感じさせない、そして実際にそんなモノがないようにしか思えないそうした言動を目の当たりにして、我々、スポーツに感動させられてきた人間として何かをやらねばと、ふとそう思うのである。

中学校での女子サッカー部問題は今も続くサッカー界の課題である。そして、実際に小学校でサッカーを始めた女の子が、中学校でサッカーを断念せざるを得ない現状もある。こうした、競技者と競技団体とのミスマッチは、その解消を競技団体に任せるのではなく、社会全体として取り組むべき課題だとして認識する必要があるのではないか。なでしこジャパンの選手たちの現実感を伴う言動に接してみて、改めてそう感じているところだ。

ちなみに補足すると、JFAとして、選手の待遇面の改善については海外移籍選手への支援が行われている。ただし国内でプレーする多くの選手が仕事と掛け持ちにならざるを得ない現状もある。金銭面については、それはそれとして競技者の苦労が軽減する方法がないものか、ぼくらも智慧を絞る必要がある。

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