ドイツ戦前日レポートより |
ドイツで開催されているFIFA女子ワールドカップ ドイツ2011に出場している日本女子代表チーム、通称なでしこジャパンは、準々決勝で開催国のドイツと対戦。延長線にまでもつれ込む熱戦の末、延長後半3分に丸山桂里奈選手が決めたゴールによって勝利し、準決勝進出を決めました。澤穂希選手からのパスをうけた丸山選手のスペースランニングと、角度のないところからのシュートは見事という一言に尽きるものでした。
アジアの代表としてワールドカップでは中国代表のみが立っている準決勝に、アジア代表として2番目に立ったなでしこジャパンは、その中国が立った決勝の舞台への進出を目指して戦うこととなります。
そんななでしこジャパンは、澤選手や宮間あや選手といった選手にばかり注目が行きがちですが、ここは東日本大震災によって大きなものを背負ってしまった選手を紹介したいと思います。左サイドバックとして4試合に先発フル出場を続けている鮫島彩選手です。
震災当時、東京電力マリーゼに所属していた鮫島選手が勤務していたのは、福島第1原発。そこで事務をしていたといいます。そんな彼女が、ワールドカップを前にしてうけたインタビュー動画には正直なところ驚かされました。
彼女はこのインタビュー中にマリーゼの事を語ろうとして絶句し、泣き出してしまいます。いろんな思いが頭を駆け巡ったのでしょう。
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鮫島選手はこの動画の中で、サッカーを続けることの是非を考えたという事や「スポーツで元気づける」という言葉の意味を自らに問いかけたのだと話しています。そしてそうして悩んでいた彼女の背中を押したのが、地元福島で応援してくれていた人たちだとも話します。
もちろん、それは福島の人たちの総意ではないでしょう。
原発事故を起こした企業に勤務していた人間としての責任を問う声もあるかもしれません。しかし鮫島選手はそうした全ての声を受け入れて、その上でワールドカップのピッチで戦っているのです。
原発事故はいろいろなものを奪い去りました。
そして、その原発で働いていた人も日常を失ったという意味では、例外ではありません。失われてしまったJビレッジの美しい芝生も、それを使う練習環境もこれから先、何十年も戻らないでしょう。そして、だからこそ鮫島選手にはなでしこジャパンの一員として、このワールドカップの舞台でしっかりと結果を残して欲しいのです。それが、少なくとも鮫島選手にとっての、被災地や原発事故の被災者に対する応援の方法なのではないかと思うのです。
さあ、ドイツ戦の勝利の余韻に浸るのはこれくらいにして、先を見据えたいと思います。泣いても笑っても、ワールドカップ優勝まであと2試合。いい試合を、そして泣けるくらいに最高の結末を期待したいと思います。
※なお、鮫島彩選手は現在JFAのオフィシャルページでは移籍手続き中と表記されているが、マリーゼからアメリカ女子プロサッカー (Women's Professional Soccer)WPSのブレーカーズへの移籍が報じられている。
関連動画
・Shining なでしこ 鮫島 彩
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