これまたたまたまなのだが、図書館から、予約していた本が届いたとの連絡があり引き取りに行ったところ返却本の所にこの本が並べられていた。表紙のイラストが鮮やかな事もあり、すぐにTVで映しだされていた本だと認識。これも何かの縁だろう、ということでその場で借りることにした。
こうした本は、読み始めが一番難しい。作者が描き出そうとする世界観がなかなか見えてこないからである。そこで退屈してしまうのか、それともそれを乗り越えるのか。立ち上がりは大事な時間帯であると言える。
現在と、17年前の事故の直後とを自在に行き来するこの小説の構成は、正直な話それほど親切なものではない。大きな意味で章立てされているわけでもなく、読むものはその時点ごとに本が描く時間軸を読み取らねばならない。まあ、それほど難しいことでもないのだが。
この本のクライマックスは、事故原因である圧力隔壁の損傷についてのスクープを紙面に掲載させるかどうかを判断する場面で一致するだろう。主人公はどうするのか。どう判断するのか。一刻も早く先を読みたい、と思わせる筆力は見事だった。
事件を主題に、人間関係やその心理描写もなされておりこれまた精緻で見事である。筆者自身が実体験した事件だということも大きいのだろうが。
いずれにせよ、いい本でした。
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