長居で行われた天皇杯準々決勝のC大阪対清水は、2−2のままPK戦に突入。サドンデスにより7人目までもつれこむ混戦をC大阪が勝利した。
PK戦を前にした延長後半の109分に、播戸竜二への交代要員としてピッチをあとにした村田和哉は、PK戦に臨むC大阪の雰囲気について「チーム内に自信があった」と振り返る。クルピ監督によるメンタルコントロールもあり、負ける気がしなかったのだという。またクルピ監督自身も会見の場で「(PK戦は)自信がありました。というのはセレッソにはしっかりしたキッカーが揃っていますし、PK戦の前に自信にあふれた表情をしていましたから」と選手たちの表情を根拠に、勝てるのだという自信を持っていたと話している。自らが引き出した選手たちの自信に満ちた表情を見て、指揮官が安心感を感じる。そうした余裕のあるクルピ監督の表情がまた選手たちに自信をもたらす。こうしたサイクルに乗ったチームは、やはり強い。
村田は、だから勝利のかかった5人目のキッカーとして登場した播戸竜二がシュートをクロスバーに当てた時も「でも負けることはないだろう」と思っていたのだという。そしてその予想通り、C大阪はPK戦を勝ち抜くこととなった。
クルピ監督のメンタルコントロールの巧さを示すもう一つの要素が、村田のプレーぶりの変容である。試合開始直後の時間帯に輝きを見せながら、前半の途中から消えていた村田は後半から息を吹き返す。サイドに張り出したポジションを取り、清水の守備陣に仕掛け続け、局面を打開した。
村田は「前半は清武弘嗣や倉田秋とかぶっていた」のだと、消えていた前半のプレーぶりの理由を話す。そしてハーフタイムにクルピ監督から「仕掛けて行け」と言われていたのだと明かす。そもそも、C大阪から発表されたクルピ監督のハーフタイムコメントが「1対1でどんどんしかけて勝負しよう。絶対に勝とう!」というもので、実際に後半は村田に限らず相手陣内の深い位置での局面の1対1で次々と仕掛けるC大阪の選手の姿が目についた。そしてそれに伴い、C大阪のチャンスは増えていった。
機能していない選手がいれば、その選手に適切な指示を与え、蘇らせる。そしてPKに入ってもチーム全体を盛り上げて勝利する雰囲気をつくり出す。
敗れた清水のアフシン・ゴトビ監督は、清水の7人目としてGKの山本海人が蹴った理由について「何人かのFPがPKを蹴りたくなかったんだろうと思います。だれも蹴りたくなさそうで、蹴ったのだと思います」と話している。つまり、PK戦に入った時に、勝てそうだという雰囲気が清水には欠けていたのだろう。どこか、頭の中に不安感を持ちながら蹴っていては、シュートがぶれても仕方無い。
清水と比較した場合のトータルなサッカーの巧さはもちろん、メンタリティでもC大阪が清水を上回り、そして勝利を手にした。だから、この勝利はC大阪にとって順当なものだった。
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