レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏
オーストリアvsポーランドでは、0−1でポーランドがリードしていた試合終盤のロスタイムにオーストリアがPKを手にして同点で試合が終わるのだが、この試合終盤のPKをめぐり、ウェブさんはポーランド人から執拗な攻撃を受ける。
この試合後のどこかのタイミングで行われた記者会見では、おそらくはポーランド人だと思われる記者から執拗な質問を受け、イングランドで生活する家族は大丈夫なのかとの質問まで飛び出す始末。ただ、それでもクールに切り返すのはさすが。実はウェブは親子でレフェリーを務めており、家族にもそれなりの覚悟が出来ていたというのが大きいのであろう。
ちなみにこのオーストリアvsポーランド戦では、ポーランドの先制点が実はオフサイドであり、そのことをアシスタントレフェリーが認めている。もちろん、ポーランド人はその件については一切言及しない。オフサイドでの得点には目をつぶり、UEFAの審判委員会も認め、賞賛したPKの判定に対して攻撃を続けるのである。
本当にレフェリーとは孤独な立場である。
ウェブさんは、アシスタントレフェリーのミスが原因で大会中に帰国する事を求められる。それに関係して、この作品中ではハイテク技術を導入しないとのUEFAの会見が流される。すなわち、選手はハイテク技術を使えない。それと同じようにレフェリーもハイテク技術を使わない。ミスをするものだとして見てほしいとのUEFAの見解が収められているのである。それはそのとおりで、それは世界中どこに行っても同じである。もちろんJリーグでもそう。審判は人間であり、ミスはある。そのミスをありうるものとしてサッカーは見るべきだろうと思っているし、実際のところそういう考えのJクラブの監督も少なくはないのである。湘南の反町康治監督などはそうした立場を公言してはばからない監督の一人である。
ちなみに決勝の審判団の決定の過程で、スペイン人のキケ氏率いる審判団の関係者がキケ氏に吹いて欲しいからスペインは決勝に行ってほしくないと言及する場面があるのだが、それに対して同じくキケ氏の関係者が、家族である前にスペイン人だから、スペインに決勝に行ってほしいのだと反論する場面は印象的だった。ちなみにスペインは決勝に進出したため、スペイン人のキケ氏の審判セットは決勝からは外れることとなる。
決勝への勝ち上がりチームによって決勝の審判セットの決定過程が左右されるのは当然の事で、南アフリカW杯ではヨーロッパの国同士の決勝になったため、ウェブさんの審判団が吹くこととなった。ただ、もしヨーロッパと南米の対決になっていれば、この両大陸の審判団は決勝戦から排除されたわけで、決勝で第4の審判を勤めた西村雄一氏の審判セットが吹く可能性は十分にあった。そういう点では、国際大会での審判団は運と隣り合わせであるということが言えるのである。
短い作品だが、生身の人間が吹く事で生まれるあらゆる側面を収めた作品であり、そういう点で深みのある映像が収められているといえる。サッカーを愛する人であれば一度見ておいて損はないと思う。
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