千葉の選手たちのこの試合についての自己評価は非常に低い。たとえば守備の要である山口智は「1試合を通して良くなかった。あの形(カウンター)で点を取れてよかったが、立ち上がりからよくなかった。今季の中では最も良くなかった」と発言。深井正樹は内容の悪さの理由の一つとしてFWからの守備に言及。「ぼくとフジ(藤田祥史)のところでもう少し限定したかった。ボールをつながれたという印象」と述べている。
これら選手の言葉を補強するのが木山隆之監督の言葉で「特に前半、あまり自分たちらしいサッカーが出来なかったなと。守備も、上手くいい形でボールをとれることが少なかった。ボールを持つ時間も少なかった」と振り返っている。
前半3分の先制点の影響もあるのか、千葉はかなり堅い守備ブロックを作り、町田を迎え撃とうとしていた。町田のボールをサイドへと追い込み、たとえばサイドハーフの田中佑昌が守備のスイッチを入れ、サイドバックの大岩一貴とFWとで挟み込むような守備を狙っていた。しかしそこはアルディレス監督の指導の元、ボール回しを磨いている町田である。簡単にプレスをかわし、サイドを変えて千葉陣内へとボールを運んだ。町田の横パスやバックパスの多さが気になっていたが、時間の経過とともにそれがビルドアップの過程の一つであることが理解でき、気にならなくなった。町田が千葉をポゼッションで圧倒する一方で、その町田が1点のヒハインドを背負うという試合展開になったことで、町田に攻め急ぐ気持ちが出たのかもしれない。41分の千葉の2点目は、突発的に降って湧いたチャンスを、藤田祥史がスーパーなフィニッシュでゴールに叩き込んだものだった。それまでの試合展開を考えると、意外としかいいようのないゴールだった。
町田は後半開始から庄司悦大に代えてドラガン・ディミッチを投入する事で攻撃を活性化させる。後半開始から1分もたたずディミッチがシュートして町田が反撃の意思を示すと、50分にも鈴木孝司から平本一樹へと繋ぎ、ディミッチがフィニッシュに持ち込む。前半の2失点や試合内容を考えると、町田の逆襲が現実味を帯びていた。だからこそ、59分の深井正樹のゴールの意味は大きかった。
山口からのパスを受けた深井は藤田に預けて前進を続け、リターンパスを引き出してGKとの1対1を冷静に流し込む。その3分後の62分にも千葉は田中がカウンターから追加点を奪いリードを広げた。町田は平本が69分に1点を返すが反撃はここまで。75分、79分に千葉のカウンターを受けて失点を重ね、1−6の大敗となる。
千葉の6得点のうち、5点はカウンターから。またボール支配率では町田が千葉を上回っていたこともあり、千葉の選手のこの試合への評価は低調なものになってしまっていたのだろう。もちろん簡単に失点を繰り返した町田の選手は千葉以上に危機感を持っていた。これだけの点差がつきながら、勝利チームの選手たちが釈然としない表情だったのが印象的な試合だった。
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