妻夫木聡演じる新任教師、星が担任となる6年2組に子豚を連れて行く場面から映画はスタートする。終着地点での「食べる」という結末の重さはもちろんだが、そもそも豚を育てるという事の大変さは映画の前半部分で、保護者が学校に乗り込んでくる場面を見てもよくわかる。ただ、それでも豚を育て、その過程で体験する難しさや楽しさを描きつつ豚に感情を移入させていく子供たちは、卒業までの1年間で多くのことを学び、考えるのである。
クライマックスは、6年2組に残された時間が少なくなる中、クラスが大きな決断を迫られる場面であろう。クラスの意見は別れ、ディベートが始まる。「殺す必要はないのではないか」という子供がいる一方で、「食べるのと殺すのとでは意味が違う」と反論する子供もいる。そしてそうした議論を通じ、画面のこちら側にいる観客に対し、人間が生きるためには命が失われているのだという事実。人は食べなければ生きていけないのだという現実を伝えているのである。
映画の中に、残酷な場面は一切使われておらず、学校で教材として使うのもありだろうと思う。食べる、生きるという事を深く考えるという目的の為に、ぜひ家族ででも見てほしい映画である。
なお、原作は黒田恭史氏の『豚のPちゃんと32人の小学生―命の授業900日
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