「ホームでやったらダメな試合でした」と申し訳なさそうに話すチョ・ヨンチョルは無得点に終わった試合を振り返り、「ボールは回せるが、最後のところで崩せなかった」とうつむく。
C大阪のセルジオ・ソアレス監督は「互角だった」と敗者をたたえながらも、スカウティングに基づき中盤で激しくマークしたことで「相手に決定的なチャンスを与えることがなかった」と自賛した。
大宮の鈴木淳監督は「サイドまではボールは行く。前半もそうでしたがクロスがうまく入らなかった。そこから楔のコンビネーションプレーが殆ど無かった。そこから背後に出る動きが少なかった」と決定的な場面を作れない試合を振り返っている。
これらの言葉を通じて見えてくるのは、大宮に崩しのパスがなかったという事実である。前半はラファエルがサイドに流れていたこともあり、起点になりうる選手がそもそも前線に不在だった。また、大宮の中盤を司っていたカルリーニョスは、ボールを大事にしすぎるあまり、パスの選択は横パスかバックパスがほとんど。相手の急所を突くような縦パスが繰り出されることはなかった。
大宮のストロングポイントであるチョ・ヨンチョルが生かされていた時間帯はあったが、それは前半に限定された。下平匠とのコンビネーションによって左サイドから攻めこむ場面は見られたが、ソアレス監督からの指示によりC大阪は後半から山口螢のポジションを修正。大宮の希望はこれによって潰える。
試合はPKにより53分に清武弘嗣が先制点を奪うことで動き出す。「後半に失点して、前がかりになり守備も前から行くことでセレッソの攻撃のパワーを助長してしまった」と鈴木監督。1点を取り返そうと前に出てきた大宮に対し、先制点からわずかに2分後にキム・ボギョンが追加点。さらに67分にもキム・ボギョンが決めて試合の大勢は決した。
大宮はパス回しはできている。しかしそのパスはC大阪のブロックの外側で回されるものであり怖さはなかった。相手を崩すには、リスクを取るしか無い。そしてそれが出来なかったことで大宮の劣勢は決定づけられてしまった。
ソアレス監督は分析の結果、大宮の特徴としてビルドアップを大事にしていることを見抜く。その情報をチームに落としこみ、戦術を練った。結局のところ、大宮がC大阪の緻密な対応に完全にしてやられたという試合だった。ああした試合展開の場合、ピッチ上である程度選手たちが状況に対応できればまだ救いがあるのだが、大宮はそれができなかった。
3−0という数字は、この試合においては公平なものだった。
初めての方も、何度かお越しいただいている方も「ふっとぼうず」を訪れていただいてありがとうございます。もしこのブログを気に入ってもらえましたらRSSフィーダの登録をお願いします。簡単に更新情報を受け取れるようになります。また江藤高志のツイッターアカウントもありますので、合わせて登録していただければと思います。
0 コメント:
コメントを投稿