川崎フットボールアディクト創刊のお知らせ

ご存知の方も多いかとは思いますが、JsGOALが1月末をもって更新を終了し、新サイトの方に統合される事となりました。
Jリーグの取材情報を記事として公開する場として、本当にお世話になってきました。

JsGOALには感謝の気持ちしか無いのですが、そのJsGOALもホームゲームのみの取り扱いということで情報の半分は出せないという状況があったため前から川崎フロンターレ専用のニュースサイトを立ち上げようとは考えていました。

今回、いろんなタイミングが一致して、Webマガジンという形で、サイトを立ち上げる事になりました。声をかけていただき、クラブ側にも理解していただき了解をもらえました。掛け持ちもOKだと言われていたJsGOALの統合による運用の停止は想定外でしたが、そんな動きの中でできたのが川崎フットボールアディクトというサイトになります。

桐光学園の17人目、#8菅本 岳


121217 プレミア参入戦2回戦 北海道大谷室蘭高校vs桐光学園

両校とも譲らず1−1のまま延長戦を終えて突入したPK戦でのこと。

桐光学園のGK長津大裕の動きが完全に読まれていた。長津は相手選手がPKを蹴る直前に飛んでいたのである。そのため、大谷室蘭の6人目の#5長屋燎と7人目の#大森健太の2人が連続して真ん中に蹴りこれを成功させていた。大谷室蘭の選手たちは自分たちが対峙している相手GKの癖をいち早くつかみ、共有していた。往々にしてそうしたGKのプレーはその選手が持つ癖であり、本人がわかっていてもPK戦の間に修正するのは難しい、とそう考えた。大谷室蘭の選手は落ち着いて蹴ればGKが先に飛んでくれる訳で、ラクラクとゴールを決める事ができる。桐光学園のGK長津がPKをストップするのは難しいと思っていた。


ところが、大谷室蘭の8番目の#15市原純の場面で意外な事が起きる。GK長津が飛ばなかったのである。結果的にこれは大谷室蘭の#15市原が左に蹴っており、決まる事となるのだが、その時にある考えが浮かんできた。長津はわかっていてそうしていたのではないのかと。確信はなかったが、わざと誘っていたのではないのかと。そこで試合後に話を聞かせてもらった。

来季の高円宮杯U-18プレミアリーグへの最後の1つの椅子を争い桐光学園と大谷室蘭とが対戦。緊張感のあるこの試合は、開始早々の5分に大谷室蘭#9内山北斗のファインゴールが決まるが、前半22分の桐光学園#9野路貴之の同点ゴールにより1−1に。息詰まる熱戦は、延長戦でも決着が付かずPK戦に持ち込まれていた。

PK戦は桐光学園の先行で始まる。1人目の#10松井修平が決めた桐光学園に対し、大谷室蘭の1人目#8小栗和也がクロスバーに当てるという展開に会場はどよめくが、その直後の桐光学園2人目#3小松勇樹もクロスバーに当ててしまい4−4でサドンデスへ突入していた。


試合後に、桐光学園のGK長津大裕に対し明らかに先に飛んでしまっていたことについて訊ねてみた。すると「実は最初の方は先に動いていて捨ててました。動いた方に蹴ってくれればラッキーという感じで、そこで止められればOKですし、そうでなくてもいいと思っていました」と話すのである。長津はつまり、7人目までわざと早めに動き、そういう癖を持っているということを大谷室蘭の選手に刷り込んだのである。その結果として、6人目と7人目の長屋、大森は真正面にシュート。まんまとこれを決めている。もし仮に大谷室蘭の8人目の#15市原が正面に蹴っていれば、PK戦はそこで決着。桐光学園の勝利で終わっていた。

結果的にその後もPK戦は続くのだが、ここで大谷室蘭の選手たちは心を乱されていたはず。落ち着いて蹴れば逆を取る事ができる思っていた相手が、実はそうではなかったからである。

そんな動揺が出てしまったのかもしれないのが、9人目の攻防である。桐光学園の#5中島駿が大谷室蘭のGK福澤英昭に止められた直後のこと。大谷室蘭の9人目は#3の深井祐希。この場面で桐光学園の長津はある仕草に注目していたという。

「選手権もあるので詳しくは言えませんが、その仕草が確認できてそっちに飛んだんです。諦めたらダメだと思っていました」

PK戦においてGKは相手の仕草を見て、飛ぶ方向を決めると言われる。ところが大谷室蘭の選手は、うまく反対の方向に蹴るなどして仕草で悟られないように蹴っていたのだという。しかしこの9人目の#3深井は、長津が確認し続けていたその仕草によって予想される方向に、そのまま蹴っていた。確認して飛んだコースに蹴られたシュートを、長津がセーブしてPK戦はその後も継続する事となる。PK戦が決着したのは、17人目だった。

桐光学園の17人目となる#8菅本岳のPKはポストに当たりインゴールへ。きわどい得点の直後、対する大谷室蘭の17人目#5長屋は、PKを蹴る際に例の仕草を見せていた。そしてこれを確認した長津が予想通りに飛び、そしてこれをストップ。この瞬間に桐光学園の勝利が確定した。

殊勲の長津は「PK戦で負けたことはないので、楽しんでやれました」と自らの戦いを振り返る。贅沢にPK戦の序盤を捨てて相手に癖を持つ選手だとの思いを刷り込む駆け引きを見せる一方で、11人目としてPKスポットに立った際は「思いきり蹴ろうと思い」その言葉通りの豪快な一発を決めている。楽しめて戦えた長津が最終的にPKをストップできたのは、精神的な余裕があってのこと。そういう意味でこのPK戦の結末は必然性があるとも言えそうだ。何れにしても、見応えのある熱戦は静かな駆け引きを繰り広げながら、桐光学園の勝利という形で決着。来季の高円宮杯U-18サッカーリーグ プレミアリーグ・イーストへの加入を決めた。

公式記録

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高円宮杯U-18サッカーリーグ プレミアリーグ 2013

イースト
コンサドーレ札幌U-18
青森山田高校
鹿島アントラーズユース
流通経済大学付属柏高校
東京ヴェルディユース
三菱養和SCユース
桐光学園高校
清水エスパルスユース
静岡学園高校
JFAアカデミー福島

ウエスト
富山第一高校
名古屋グランパスU18
京都サンガF.C. U-18
ガンバ大阪ユース
セレッソ大阪U-18
ヴィッセル神戸U-18
サンフレッチェ広島FCユース
アビスパ福岡U-18
東福岡高校
大津高校


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