川崎フットボールアディクト創刊のお知らせ

ご存知の方も多いかとは思いますが、JsGOALが1月末をもって更新を終了し、新サイトの方に統合される事となりました。
Jリーグの取材情報を記事として公開する場として、本当にお世話になってきました。

JsGOALには感謝の気持ちしか無いのですが、そのJsGOALもホームゲームのみの取り扱いということで情報の半分は出せないという状況があったため前から川崎フロンターレ専用のニュースサイトを立ち上げようとは考えていました。

今回、いろんなタイミングが一致して、Webマガジンという形で、サイトを立ち上げる事になりました。声をかけていただき、クラブ側にも理解していただき了解をもらえました。掛け持ちもOKだと言われていたJsGOALの統合による運用の停止は想定外でしたが、そんな動きの中でできたのが川崎フットボールアディクトというサイトになります。


サッカーで子どもの力をひきだす オトナのおきて10(DVD付)
島沢優子 (著), 池上正 (監修)

監修の池上正さんが、実際にサッカーを教える現場で実践してきた指導法をまとめたもの。子どもたちとどのように接するのかを考えるときに参考になる書籍である。

この書籍を通して語られるのが、目線を子どもたちの水準にまで落とすということ。たとえば練習の最初の時点で子どもたちを集合させたい場合に、どうするのか。大人のコーチが「集まれ」と言わずとも集まる方法には目からうろこが落ちる思いがした。

子どもたちの水準にまで視線を落とす指導の本質を突くのが、子どもたちを叱らないというものである。叱らずに語りかけることの重要性については第6章の「やわらか言葉に変える」で語られている。この章で池上氏は、指導の現場で殴り、叱ってきた自らの過去について言及。子どもが変わるための本質は「自分で気がつく事」にあると明言する。プレーを気付かせるためのきっかけとして、叱ることは効果をあげる事もあると率直に述べつつ、必ずしもすべてのケースで叱ることが効果的ではないのだとも書いている。

そもそも、子どもが自分で気が付くという事は、自分で考えて自分を見つめなおすという事である。そこで、その働きかけのベストな方法として、叱責口調の厳しい言葉ではなくやわらかい言葉を使った方がいいのではないかと提案するのである。

実際に読んでみるとわかるが、実体験に基づくこれらの池上氏の提案が、ストンと自分の中に落ち込んで来る方は多いと思う。今回紹介した第6章にかぎらず、1冊を通して接し方について気付かせてくれる力を持つ本だった。

基本的にサッカーの現場での話ではあるが、人と接する立場の人にも広く手にとってもらいたい一冊である。

気付かせるというテーマでもう一冊紹介したいのが、こちら。

長友佑都の折れないこころ
篠 幸彦 (著)

まだ長友佑都がFC東京の選手としてプレーし代表に招集された時、練習場となった都内の競技場で聞いた話が思い出深く残っている。

プロであり、代表にまで選ばれながら、彼は電車で競技場にまで移動し、昼食として牛丼チェーン店で食事をしたのだと話していた。そんな彼の言葉を聞いていて、気さくで飾らない人柄に好感を覚えた。誰もが認める好青年だった長友は、そんな気さくさを残しつつ、いい大人へと成長しつつある。そんな長友が、実はグレかけていたという中学時代の話でこの書籍は始まる。

危うく不良の世界に堕落しそうなとき、彼にはサッカー選手として正しい道を歩ませてくれた指導者がいた。サッカー部顧問の井上博氏と副顧問の伊藤貴史氏である。サッカー部そのものが不良の巣窟と化していた当時の西条市立西条北中学校に長友の入学とともにこの二人の指導者が赴任してきたのである。時に鉄拳を振るい、長友自身もゲームセンターでサボっていたところを指導されたことがあるという。サッカーではなく、まずは生活指導に重点を置かざるを得なかったという中学生時代のエピソードを読みつつ、世界で活躍する今の長友の姿を思い浮かべると、指導者との出会いが一人の選手の人生を変えることがあるのだなと痛感した。そしてその時々で「やるべきこと」に気付くこと。また仮に本人が気付けなくても、気付くように持っていける人の存在の大事さを改めて痛感した。

ただ長友の場合、本気でサッカーと向き合うきっかけとして井上氏のご子息の病気という要素も複合されているという。そういう点で、長友のケースは万人に応用できるきっかけではない。ただ1つだけ言えるのは、不良の世界に転落しかけていた選手でも、本気でサッカーに取り組みさえすれば、プロになり、代表に選出され、世界の桧舞台で活躍できる可能性があるのだという事実であろう。

長友は中学校時代に気付く。そして、サッカーと真正面から向き合う。今の長友を見ていると、人は気付いた時にどんな努力も受け入れられるのだという事がはっきりとわかる。だからこそ、若い世代と接しているみなさんには、どうすれば子どもたちを気付かせられるのかを日々問い続けてほしいと思う。


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