79分に同点ゴールを決めた早稲田大学を、81分に再び突き放した阪南大学は、試合終了間際の後半90+1分に3枚目のカードを切る。須佐徹太郎監督がピッチに送り出したのは奴井名良真(ぬいな・りょうま)だった。須佐監督は、この奴井名とともに脇坂泰斗にユニフォームに着替えるよう指示していたが、最終的に奴井名を選択。ハードなマークで早稲田のボールをせき止め早稲田に付け入る隙を与えないプレーを完遂した。
大分西高校という、大分ではサッカーの強豪校だとはいえない高校の出身者という経歴にも興味を感じ、話を聞いてみた。
「別にトリニータのジュニアユースということでもないです」という奴井名は「あの場面、泰斗が出るんだと思っていました」とベンチで待機した時間帯を振り返る。「ぼくを起用した監督の考えはよくわからないですが、自分ではセカンドボールと相手の攻撃を防ごうと思っていました」と話す。その奴井名は実際に早稲田の攻撃の芽を摘む働きを見せており、求められていたプレーはできていたのではないかと伝えると「やれることはできたと思います」と胸を張った。
奴井名は大会パンフレットに「彗星の如く現れたMF」と説明されている。聞くと、今年の夏の遠征から頭角を現したばかりだという。というのも奴井名は一般入試で阪南大学に入学しており、阪南大学ではいわゆる7軍からサッカー部での経歴をスタート。もちろんトップチームに絡む事はできず、4年になった今年は副務を務めていた。その奴井名に転機が訪れたのが、この夏の遠征でのこと。都合によりチームに帯同できない主務に代わり遠征に同行すると、ケガ人が続出したことで急遽試合に出場。その時のプレーぶりを認められてトップチーム入りし、今日の試合出場につながった。アディショナルタイムでの僅かな時間ではあったが、出場記録を残し、チームの勝利にも貢献した形だ。
夏まではマネージャーだった選手がそうやって大会の歴史に足跡を残せたのも、人知れずサッカーを続けてきた努力があったから。華やかな選手ばかりに目が向いてしまうが、大学での4年間の大半でトップチームとは無縁の場所で過ごしてきた選手にも歴史はある。そして努力は人を裏切らないという当たり前の事実を改めて教えられた出来事だった。いい選手に出会えた。
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