先日、10−0の試合のレポートを書いた大分高校が、順調に勝ち上がりベスト8にまで到達した。これは大分高校自身2度目の事で、高校選手権が県別対抗戦となった現行方式になって以降の大分県勢としてのベストタイである。
近年、大分市周辺地域の高校年代のチームは、県内にあるトリニータを含めた中学年代のクラブチームによって優秀な選手が多数輩出された、その恩恵を受けてきた。その中でも組織的でパスワークに優れたサッカーを展開する大分鶴崎(ツルタカ)がコンスタントにその力を発揮しており、県代表に最も近い存在となってきたという歴史がある。大分鶴崎の流麗なパスワークは見事なもので、どこまで勝ち上がるのか楽しみに思える反面、選手権では思うように勝ちあがることができず、勝負弱さが課題となっていた。
なお、大分高校はそうした流れとは若干外れたアウトロー的な存在で、選手権には83回大会以降7大会ぶりの出場となっている。
これは大分鶴崎に限らないが、大分県代表は選手権では全く結果を出せていない。試みに首都圏開催方式となった昭和51年度第55回大会からの大分県代表の戦績を調べてみたが、想像以上だった。
55回大会から89回大会まで35大会が開催されているが、そのうち、地域代表制だった6大会中、3大会で不出場。出場した3大会も1勝3敗(初戦敗退が2大会)という成績である。
また都道府県代表制で行われた29大会の戦績は22大会で初戦敗退(初戦敗退率75.8%は驚異的)。また29大会通算の勝利数は11にとどまる。ちなみにこの11という勝利数は、国見が連覇した79回、80回大会の2大会における勝利数と同数。大分県代表の選手権での勝負弱さは、66回大会から74回大会まで9年連続で初戦に敗退し続けている点を見ても明らかである。
これだけ勝負弱い県が他にあるのか気になるが、秋田県代表の西目の畠山啓監督が、初戦を落とした試合後に初戦敗退について尋ねられており、調べた所、今大会初戦に敗れ7年連続初戦敗退となったようである。秋田から訪れたであろう地元の記者さんからそう聞かれて意識していたと畠山監督は答えており、さすがに県代表として初戦突破のプレッシャーはゼロではなさそうである。もちろん連続して県勢が初戦敗退中であれば尚更のことであろう。
そうした過去があることもあり、大分高校(通称、分高=イタコウ≠イタ公)がこうして勝ち進むことに対し、大分県民が喜ぶのは間違いない。ただ、大分県では選手権を放送する地元放送局がクロスネット局である関係上、分高の試合が生放送されないのだという。そうした事情もあり、大分合同新聞社が三回戦から記者を1人増やし2人体制での報道を始めている。ちなみに応援に駆けつけた記者さんは「『なし生放送せんのか?』という怒りの電話がうちに来るんです」と苦笑いしていた。たぶん放送局に対する苦情電話を入れた後、そうした現状を報道して欲しくて地元新聞社に電話しているんだろうと推察するが、それにしても地元高校の快進撃に対する地元放送局のそうした扱いは残念である。
なお、分高のレポートやコラム、フリーマンサッカーについての解説をこのブログに書く予定にしていたが、スポナビさんから執筆の依頼が届いたため、そちらの注力することにしました。お待ちしていただいた皆さんには恐縮ですが6日まで待っていただければと思います。
大分県代表の選手権での戦績(首都圏開催以降)
55回・地域代表制・不出場 東九州代表に漏れる
56回・地域代表制・初戦敗退 大分工(東九州代表)0−1西目農(西奥羽代表)
57回・地域代表制・不出場 東九州代表に漏れる
58回・地域代表制・不出場 東九州代表に漏れる
59回・地域代表制・ニ回戦敗退 大分工(東九州代表)4−0豊科(長野)→1−1(PK2−4)清水東(静岡)
60回・都道府県代表制・初戦敗退 鶴崎工0−0(PK3−5)創価(東京)
61回・地域代表制・初戦敗退 中津工(東九州代表)0−3清水東(静岡)
62回(この大会以降都道府県代表制が固定)三回戦敗退 大分工0−0(PK4−3)鎌倉→3−1金沢錦丘→1−5帝京
63回 二回戦敗退 中津工2−2(PK4−2)→1−2新潟工
64回 初戦敗退 別府商1−4五戸
65回 三回戦敗退 シード→中津工1−0機山工→0−1高知
66回 初戦敗退 シード→上野丘0−1米子工
67回 初戦敗退 シード→大分鶴崎1−2盛岡商
68回 初戦敗退 シード→大分工0−1仙台育英
69回 初戦敗退 大分鶴崎0−3宇都宮学園 ※52校
70回 初戦敗退 大分工1−2星陵
71回 初戦敗退 大分工0−1静岡学園
72回 初戦敗退 情報科学0−0(PK2−4)登別大谷
73回 初戦敗退 情報科学1−1(PK2−4)松商学園
74回 初戦敗退 大分豊府2−2(PK3−4)真岡
75回 二回戦敗退 大分2−1新潟工→2−3松商学園
76回 初戦敗退 情報科学2−2(PK2−4)新潟工
77回 初戦敗退 大分0−2浦和東 ※浦和東の選手権初勝利、らしい
78回 三回戦敗退 大分鶴崎1−0山形中央→4−0大津→2−4富山第一
79回 初戦敗退 シード→大分2−2(PK5−6)富山第一
80回 ベスト8 大分3−0宇都宮白楊→4−0奈良育英→5−0帯広北→1−2前橋育英 ※試合終了間際に逆転される
81回 初戦敗退 大分2−2(PK4−5)福島東
82回 初戦敗退 情報科学0−2盛岡商
83回 初戦敗退 大分2−2(PK3−5)西武台
84回 初戦敗退 柳ヶ浦0−2青森山田
85回 初戦敗退 大分鶴崎2−4盛岡商 ※盛岡商は優勝
86回 初戦敗退 大分鶴崎1−3矢板中央
87回 三回戦敗退 シード→情報科学0−0(PK4−1)東北→1−3鹿島学園
88回 初戦敗退 中津工・中津東0−5八千代 ※中津工と中津商業が合併して中津東に統合。その過渡期で連合チームに
89回 初戦敗退 大分鶴崎1−2鹿島学園
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