立ち上がりに複数のチャンスを作れたのは、日本の良さにその原因を求めるよりは、メキシコのゲームプランに依存していたと考えるのが妥当であろう。見る人に衝撃を与えたイタリア戦の効果は、そういう意味で絶大だった。メキシコは日本をリスペクトし、じっくりと試合を進めた。ただ、目の前の日本が警戒に値する程の力を持っていないことを見抜くと、徐々にメキシコがペースを取り戻し始めた。
54分にチチャリートに奪われた先制点は、酒井宏樹と相対したアンドレス・グアルダードの、抜き切ること無く上げるクロスの技術と、そのクロスの精度によってもたらされたものといっていい。試合をリードしていたチームによる先制点である。通常はそのまま押し切ってしかるべき展開で、実際にメキシコは追加点を奪い、日本の追撃を振り切った。内容で上回った試合でしっかりと勝つ事ができていたという意味で、この日のメキシコは強かった。額面通りの結果だったと言っていいだろう。
思うに任せない試合展開に持ち込まれることはサッカーの試合においてはままあることである。そんな試合でどのように勝ち点を奪うのか。つまり試合内容はもちろんだが、究極的に試合に勝つことをどのように実現するのか。日本はその部分をもっと追求するべきだろうと思う。いわゆる強豪国というのは、そうした試合運びに長けているからだ。
内容で日本を上回ったこの日のメキシコは勝つべくして勝ち、日本に圧倒されたイタリア代表は苦しみながらも日本から勝ち点3をもぎ取った。開催国ブラジルとの一戦は、その性格が少々違っていたが、それにしても日本の自滅もあって悠々と勝ち星を手にした。
日本では、Jリーグにおいて各クラブの監督が戦術の熟成によるチーム作りを進めている。その方向性自体を批判するつもりは全くない。ただ、そうして作った戦術が通用しなかった時に、どう勝つのか、という考え方が必要なのだろうと思う。プロは勝ってなんぼ。サポーターは内容で上回り勝つことを求めているが、内容が悪くても勝てば文句は出てこない。
もちろん、内容で相手を上回れば、結果についての是非は問わないというスタンスがあってもいいとは思う。潔く散るという文化はそれはそれでありだと思う。
思うようにVTRを見返すことができないため、試合のディテールについて論じることはできないが、機会があれば改めて検証してみたいと思う。また、コンフェデレーションズカップにおける予選リーグ3戦全敗という結果についても改めて議論してみたいところだ。結果としての3敗については残念な結果だったとしか言えないが、そうした経験ができたことを生かさなければ、本当に無駄な3敗になってしまう。今大会を歴史の教訓にして、前進するための糧としたい。
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