低調な内容の両チームの立ち上がりではあったが、より個性を発揮していたのは湘南だった。ポジションを崩さず自陣に選手を並べ、横浜FMがマルキーニョス、端戸仁などをめがけて蹴ってきたロングボールを漏らさずカットし、横浜FMに攻撃の隙を与えなかった。
前半40分に中村俊輔一人に先制点を奪われるが、その直後のキリノの同点ゴールにより1−1で後半へ。61分にはキリノが追加点を決めて一時は横浜FMを逆転する展開となる。スタジアムは騒然とした雰囲気に包まれるが、結局そこから3失点を喫し、再逆転されてしまった。
チョウ・キジェ監督は試合後に「2−1になった後のゲーム運び」を課題の1つとして掲げた。ただ、高山薫を始めとする複数の湘南の選手たちによると、それは自陣に引きこもり、守備的に戦うということではないと話す。常に攻撃的な姿勢を失わずに試合を進めたいという事らしい。
豊富な運動量をベースにした戦いにより、常にゴールを狙う姿勢を持ち続ける。それは簡単なことではない。過去を振り返れば、同じようなサッカーを指向してきた多くのチームが結果を出せず方針転換を迫られてきた。そういう点で、今後の湘南がどうそのサッカーを展開していくのか、見続けていきたいところだ。
ちなみに高山薫は、小学校6年生だった2000年に等々力で行われた川崎F対V川崎の試合時にエスコートキッズのひとりとして等々力のピッチに立っている。そしてその時手をつないでピッチに入ったのが中澤佑二だった。小6の高山少年は当時憧れていた西澤明訓の真似をしてユニフォームのえりを立てていたというが「なんでえりを立ててるの?」と中澤に聞かれ、その理由を答えた中澤に「プレーで真似しないとね」と言われたと話していた。西澤のような芸術的なボレーシュートを連発しているわけではないが、攻守にわたる貢献によって今や湘南の左サイドには無くてはならない存在となっている。
そんな話をしていたすぐ2m先に、記者に囲まれる中澤佑二の姿があったが、特に昔話を伝えるつもりはないとも話していた。憧れていた中澤佑二や中村俊輔と同じピッチに立った経験を不思議な感覚だと表現した高山薫だが、と同時に、憧れていた選手に、昔話をしようとしないところにプロのサッカー選手としての矜持を感じた。
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