試合後の監督会見を聞いていて、市船が大分のことを最大限にリスペクトしていた事がわかった。朝岡監督は「最大限の準備をしてきました」という。しかし、試合が始まると想定外の試合展開だったと振り返る。大分の前へのパワーがそれほどではなかったというのである。
この会見を聞いていて、大分はもう少しやりようがあったのかなと思った。今まで通りにやるという選択肢もあったのかなと思った。
しかし、その一方でCWCでの出来事が頭をよぎったのも事実である。すわなち、バルセロナと対戦したアル・サッドの極端な守備戦術を見せつけられ、「あんな守備的なサッカーがアジア代表だと思われたくない」と思いつつ、まともに打ち合ったサントスがチンチンにされる姿を見て「アル・サッドはそうせざるを得なかったのだ」という事を痛感させられた、という経験である。
つまり、大分が、市船の想定通りに試合を進めていたとして、2失点で済んでいたのかという考え方である。もちろん、1得点で終わらなかった、という可能性も十分なのだが。
サッカーに関するレポートというのは結局のところ結果論をこねくり回すしか無く、試合後に何を書いても、それはいくらでも好きな方向で書けるもの。だからこそ、それを伝える側として、監督会見での言葉は重い。
◯朝岡隆蔵監督(市立船橋)
大分さんが相手だということで、最大限の準備をしてきました。ただ、想定とは若干違う入りだったので、選手たちが今までの経験値を生かしながら柔軟に対応してくれて、しっかりとボールを動かしてできることを証明してくれた一歩手前くらいだったと思います。もう少し切り崩し、前半で勝負を付けたかったんですが想定していなかったということと固かったということで、最後の崩しの部分がうまく行かなかったと、前半は思います。
後半も想定外だったので、いつ来るのだろうというところもあったんですが、大分さんの運動量が連戦の中で落ちていた。迫力が半分以下、想像の半分位だったのでなんとか選手たちもピッチで自信をもって表現できたのかなと思います。
Q:想定と違っていた部分とは? (質問聞き取れず)後半、相手が前に出てきた時の対応は?
A:いまおっしゃられたとおりだと思いますが、もっと前から奪いに来る守備をする。中盤の3枚の選手が積極的に前に来て、人数をかけてうちにプレッシャーを掛けてくるんだろうという想定だったので、ある意味構えてくれた部分もあったので、落ち着いたなと。それが想定外でした。
当然、1点リードという展開でしたので、いつかは持っている力を最大限に、最後のピッチですから、高校生ですから、襲いかかる時がかならずくる。それが後半のスタートなのか、どこの時間帯なのかをしっかり見極めようと。ですから後半の立ち上がりは慎重に、しっかりリスク回避をしなければならない、という話は選手にはしました。
Q:杉山(丈一郎)選手、菅野(将輝)選手をベンチに置いていたということから、後半で点を取りに行くというのがゲームプランなのかなと考えていたんですが、想定していたプランというのは?
A:攻撃的な杉山にしろ、菅野にせよ、攻撃的ですし守備のところの負担はできるだけ減らしてあげたいと。そういう意味ではそこの強さを持っている磐瀬(剛)、渡辺(健斗)、こういうところは想定していた結果、あのポジションで収まって欲しいと思っていました。菅野と杉山がうちはベンチに居ることで、いつでもうちは点を取りに行く姿勢を持つというアドバンテージを出したかったですし、レギュレーションも変わり、90分、そして延長もあるということを考えた時にいつでも点を取りに行く姿勢はうちの場合はできた。そういう事を選手たちにも伝え、ただ結果、いい形でいい時間で先行できたので、今回は使わずに済んだというところです。
Q:先制の場面、直前に渡辺選手を呼んで指示をされていましたが、どんな話をしていたのでしょうか?
A:FK自体のことではなかったです。前半が勝負だと。この展開であれば点を取りに行かなければならない、想定外だったということなので、その中でしっかりとボールを動かしたい。特にCBの前のプレッシャーが甘かったので、池辺(征史)、和泉(竜司)、そこで起点になるように伝えて欲しいという事を言いました。
Q:あのFKは良い意味での想定外だったと。
A:そうですね。いつもなら杉山なり、菅野がFKを担当しますので、そういう意味では和泉ではなく渡辺が蹴ったという事で、彼も自信があったのかなと思います。
Q:20分頃まで蹴っていた事は指示だったのか。後半の35分ごろからキープを始めましたが、それは試合時間を間違えていたのか、それとも指示だったのか、教えてください。
A:立ち上がりの入りで上手い事やろうとして、相手に得点を与えたシーンを回避したい。選手たちも長崎日大戦での経験がありましたので、そういう意味では前にという意識は働いたと思います。立ち上がりの20分間は雰囲気に慣れたり、相手を見る余裕もなかったのかもしれませんし、そういう意味では相手に対して圧力を与えていく。という姿勢だったと思います。それは選手たちが判断した部分です。私としてはそれをいかに早くコントロールするというところだったので、そういう意味では時間がかかったのかなと。相手をみてしっかり回せるぞと。そういうところに対して20分かかったといえばそのとおりだと思います。
残り時間10分というところで、時間を間違えるわけがないんですが、選手たちは自信を持っています。あそこのところでの保持、キープ、奪いとり。そういう意味では高校生としてどうかという話もありますが、攻めて行く姿勢を持たなければならないという事も考えられますし。ボールを持てる選手が居ますし、そこでもう一度奪い取りをしてCKというのも戦略の1つとして彼らは持っていましたし、たとえあそこでゴールキックでもスローインでももう一度前から守備で行けるんだという事を考えた時には、そういう事を考えたプレーとしては10分というのは十分だと思います。
Q:2−0で1失点しましたが、守備については?
A:変な空気感というか相手の間と言うか、リズムと言うか、そういうところにうちの選手も陥ってしまって、すごくテンポとかスピード感とかがすごくゆっくりになってしまって、そういう意味では相手に間があっているなという話をハーフタイムにして、後半やっぱりそういうところの隙や事故でひっくり返るんだ、というリスクの話をしていたんですが、出した鈴木(潤)についてもすぐにサポートしていない。小井(悠太)にしてもプレッシャーを受けるということに関しては想像していなかったのかなと。そういう意味ではしっかりとした判断が一番危険が伴うゾーンでできていなかった。そういう部分では指導力不足ということでしょうか。
Q:大分の徹底サッカーが迫力半分だったと。ただ、大分の徹底したサッカーについてどう思われますか?将来につながりますか?勝負で勝つことの大事さを踏まえて。
A:今日の試合は別として大分さんの試合を何試合か見た印象は、本当に迫力があり、前の3枚の連動性もありましたし、中盤の前にかける人数とか勢いで、徹底していた。脅威でした。今まで見たチーム、やってきましたが、本当に今回についてはすこし、来られた時にどうしようという部分はありました。
それが先につながるのか。選手たちがそこにいるコーチたちとああいうサッカーを展開して、それが選手たちも納得してやっているのであれば、その世界ではOKだと思います。大きな話はできません。育成だ何だという話は。ただ、そこにいる子供達が純粋にサッカーに勝負に向くという部分では高校サッカーのひとつのあるべき姿でいいのかなと感じています。そういう意味では脅威だったのは間違いありません。
Q:現役時代に立てなかった国立の舞台ですが、そのあたりの心境を教えて下さい。
A:選手たちに感謝していますし、私の想いは今となっては別です。選手がたくましくここまで連れてきてくれたので、ホントに心ある選手たちと巡りあえてよかったと思っています。
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