川崎フットボールアディクト創刊のお知らせ

ご存知の方も多いかとは思いますが、JsGOALが1月末をもって更新を終了し、新サイトの方に統合される事となりました。
Jリーグの取材情報を記事として公開する場として、本当にお世話になってきました。

JsGOALには感謝の気持ちしか無いのですが、そのJsGOALもホームゲームのみの取り扱いということで情報の半分は出せないという状況があったため前から川崎フロンターレ専用のニュースサイトを立ち上げようとは考えていました。

今回、いろんなタイミングが一致して、Webマガジンという形で、サイトを立ち上げる事になりました。声をかけていただき、クラブ側にも理解していただき了解をもらえました。掛け持ちもOKだと言われていたJsGOALの統合による運用の停止は想定外でしたが、そんな動きの中でできたのが川崎フットボールアディクトというサイトになります。

ブラジリアで行われたブラジル対日本の試合前にスタジアム脇でちょっとした暴動が発生していました。たまたまこの場に居合わせたので、レポートします。

その前に、現在ブラジル国内で起きていることを簡単に説明します。

ブラジルでは現在6%のインフレが進行中です。6%というと結構な数字ですが、日本人のぼくらでも品物が高いように感じているので、ブラジルの大多数の国民は同じ感覚を持っていると思われます。

インフレが発生したとしても、これに経済成長が伴っていれば悪いことではありません。ところが現地経済はあまり良くなく、物価だけが上昇する悪循環に陥ってしまっています。

商品の値上げはもちろん、公共料金も値上げされますが、そんな中、バスの運賃が値上げされました。聞くと、3レアルから3.2レアルへと、10円弱の値上げでした。この額だけを見れば小さいものですが、これがきっかけで暴動が発生します。

リオデジャネイでの乗り換えの際に、地元のニュース番組がリオデジャネイやサンパウロで発生した騒乱の様子を中継していました。このニュース映像は、こうしたバスの値上げに反対するものだったそうです。

10円弱の値上げと聞くと微々たるものに思えますが、地元の日本人記者によると現地では「なみなみに注がれたコップの最後の一滴だった」と表現されているそうです。

そうした状況がある中で、ブラジルはコンフェデレーションズカップの開幕を迎えます。

【コンフェデレーションズカップ開催反対デモと、鎮圧のための警備当局】

試合前のほのぼのとした雰囲気の中にあって、なぜだか大量に動員されている警備当局。なんだろうかと目を凝らしていると、その奥にデモ隊の姿が見えます。

そうこうしているうちに、騎馬警官が移動をはじめました。


最初は牧歌的に見えたデモ隊と警備当局とのやり取りでしたが、徐々に状況がひどくなっていきます。


↑こちらの動画の状況を説明します。当初動画向かって右手に集結していたデモ隊が、スタジアムに向けて移動。入場待機列のすぐ脇で大声を出して騒ぎ出します。それを見とがめた警備当局が移動して、入場待機列のサッカーファンとデモ隊が重ならないよう、指揮車ごと移動して車両でバリケードを作ります。

30秒ごろから破裂音が聞こえてきます。最初の破裂音は小さいものでしたが、連続した音に変わり、それに合わせて逃げるデモ隊の若者が画面に映り込んできます。その若者の逃げる様子を目にして、待機列のサッカーファンも逃げ始めます。

1分20秒頃に一人の若者が警備当局に拘束されています。

2分頃に画面中央にパトカーのようなものが映りますが、この前で一人の若者が拘束されていました。
全般的にあとずさりしているのは、催涙ガスが漂ってきているためです。

2分25秒ごろの会話は、デモの参加者との会話ですが、あまり上手くは成立しませんでした。

3分10秒ごろからスタジアムで大きな音が聞こえてきたのですが、この撮影を開始したのが現地時間の14時20分頃だったので、開幕のセレモニーだったものと想像します。

4分40秒ごろに警察車両前で拘束されている若者の姿がありますが、彼の周りにデモの参加者が徐々に集まり始めます。拘束のための一部始終は撮影されているようでした。

動画の色調がおかしいのは、こちらの設定ミスです。


↑一度は散ったデモの参加者が徐々に広場に集まって来ました。冒頭から映っている警察車両の前で拘束された若者の周りには多くのデモの参加者が集まっているのがわかると思います。

1分頃に人だかりが画面の中に入ってきますが、負傷者が発生したようです。
意を決して、この人だかりに近づいてみました。
多くのカメラが彼を捉えていました。

1分35秒過ぎ、上半身ハダカの男性が横たわっている姿がちらっと映りますが、彼は下半身を痛めたようでした。
大会のオープニングセレモニーは継続して行われていたものと思いますが、こうやって多種多様な主張が混在するのはある意味、社会としては健全なのかもしれません。


↑最終的にこのデモとは距離を置き、J2応援ゲーフラ写真を何枚か撮ってSMCに戻ろうと思っていた矢先、大きな破裂音とともにデモの参加者が全力で逃げ始めます。これはそこから撮影を開始したものです。

開始直後に画面左手に騎馬警官が移動している様子が映りますが、これはデモ参加者を誘導するためのものです。ちなみに警備当局が意図した誘導の経路は、SMCに向かう経路と同一で、そういうわけで同じ動きをする事になりました。

30秒ごろ。デモ参加者の逃げ足が一気に早くなると共に、大きな破裂音が鳴り響きます。散発的な発砲音のように聞こえるのは、催涙ガス弾の発射音だと思います。

45秒ごろ、デモの参加者の退避の様子を撮影し終え、SMCへの導線に向けて前を向いた所、自分の前に催涙ガス弾が落ちていることが判明して少々驚きました。この時はさすがにヤバいかもと思いました。

47秒ごろ、白煙を出している催涙ガス弾を警備側に投げ返す若者の姿が映っているのがわかると思います。なかなかハードです。

53秒頃に映る若者が、こちらのカメラに気がついてプラカードを掲げています。「MORE EDUCATION」と書かれているのが分かります。このデモ隊の主張が、スタジアムのようなインフラ整備ではなく、教育問題であることがわかります。

58秒ごろから咳き込む音が入っていると思いますが、催涙ガスを吸い込んだためです。喉が痛くなりました。画面が白くなっているのは、催涙ガスが充満しているからです。

2分ごろから歩くこの通路がSMCへの導線なのでここを歩かない訳にはいきません。

ぼくは運が良くて、このデモ隊は、日本人であり、カメラ機材を持ち、変な水色の旗を持つ人間に危害を加えるというような集団ではありませんでした。それは救いでした。


↑警備車両が猛スピードで左手の芝生に突入し、背後から騎馬警官が追い立てるという状況で撮影を始めたのがこの動画です。

動画の冒頭に響く変な電子音が恐怖心を煽ります。

30秒過ぎ、一人の若者がポルトガル語でまくし立てています。

40秒ごろ、ブラジル代表ユニフォームを着用した男性が「教育を」と口にしているのがわかります。その直後、フラメンコのユニフォームを着用した男性に話しかけられます。「日本人か?」と聞いてきたところを見ると、彼らが外国人に対して意図的に話しかけているのがわかります。

1分40秒過ぎ、右に曲がっていますがこの先がSMCの入り口のセキュリティゲートになります。

デモ隊が早足で歩いているのは、背後から騎馬警官が迫っているためです。

SMCのセキュリティゲート前の通路を逃げるデモ隊を追い立てる騎馬警官。ついさっきまでぼくも彼らに追われる立場でした。

国際大会には開催の意義があるとは思いますが、それを上手く国の発展につなげる叡智が­政治家には求められています。特に国力がない国ではそうだと思います。ブラジルは人々の知恵が必要な状況に置かれています。


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