川崎フットボールアディクト創刊のお知らせ

ご存知の方も多いかとは思いますが、JsGOALが1月末をもって更新を終了し、新サイトの方に統合される事となりました。
Jリーグの取材情報を記事として公開する場として、本当にお世話になってきました。

JsGOALには感謝の気持ちしか無いのですが、そのJsGOALもホームゲームのみの取り扱いということで情報の半分は出せないという状況があったため前から川崎フロンターレ専用のニュースサイトを立ち上げようとは考えていました。

今回、いろんなタイミングが一致して、Webマガジンという形で、サイトを立ち上げる事になりました。声をかけていただき、クラブ側にも理解していただき了解をもらえました。掛け持ちもOKだと言われていたJsGOALの統合による運用の停止は想定外でしたが、そんな動きの中でできたのが川崎フットボールアディクトというサイトになります。



加藤雅也が亡くなったのが2004年のことだからもう8年になる。大分は99年からJ2に加入するのだが、このシーズンが始まった頃、というかシーズン終盤に至るまで大分にとってJ1昇格という目標は全く現実感が伴わないものだった。加藤雅也は、そんな頃から大分をサポートしてきた一人だ。

今でこそ大分のゴール裏には一体感のある応援が展開されているが、あの姿になるまでにはしばらく時間がかかった。古参のサポーターが母体となったグループが存在する一方で、ネットを中心に集まったグループがその勢力を伸ばしていた。どこのグループがスゴいとか、悪いとか、そういう価値観は置いておいて、要するに大分のゴール裏は分裂していた。

加藤雅也は、そういう状況に心を痛めていた人だった。なんというか、ほんわかとした人柄で、少しでも接することがあれば敵になるような感じではない人だった。そんな人だったから、少しずつ時間を掛け、ゴール裏サポーターの統合のために当該グループと話し合いを続けた。

正確な進捗度合いはわからないが、02年頃から融和的な雰囲気での話し合いが始まり、05年初頭から今の形の一体となった応援が始まったという。

その後、大分はJ1に定着し年々その地力を付けていく。その結果として08年にナビスコカップを獲得し、年間順位4位でシーズンを終える。しかし09年は成績不振により降格するとともに経営破綻。10年から現行体勢へと移行する事となる。ジェットコースターのような経営のクラブではあるが、生前の加藤雅也の尽力とその遺志をいろいろな立場の人が引き継いだこともありサポーターグループは固い絆で結ばれつつ今に至る。そんな雅也が国立のスタンドに居た。

J1昇格プレーオフの決勝戦当日。大分空港からの東京便は満席状態だった。加藤雅也のご両親は、プレーオフ決勝を現地観戦しようと手を尽くしたというが、移動の便が確保できず観戦を断念。そこで加藤雅也の親友だったkazくんに雅也の遺影を託したのだという。

連れて行って欲しいと言われたら、そりゃ断る理由もない。昇格を決めた試合後に大分のゴール裏がアップになる中、kazくんが手にする加藤雅也の遺影が映し出されていた。なんだろう。その映像を見た時「良かったなぁ、雅也」という言葉が脳裏に浮かんだ。そう言うしか無かった。

来季大分はJ1で戦う。6位からの大逆転劇である。その勝ち上がりにドラマがある一方で、世の人は来季の大分の成績を横目に見つつJ1昇格プレーオフの意義を語ることになる。まだまだ返すべき借金は残っており、チーム人件費の大幅な積み増しは不可能である。ただ、あまりに弱すぎると集客に響いてしまう。非常に難しい経営の舵取りが求められるシーズンとなるがまずは残留を目標に戦うこととなる。そしてそれが大分という地方都市のクラブが生きていくスタンスなのだろうとも思う。無理をせず、身の丈経営でJ1残留を目標に戦う。そんなチームの門出の舞台に、加藤雅也が彼の親友と共に居れたことを知って、本当に良かったと思った。

そんなことを思いつつ原稿をまとめる中、ずっと千葉サポーターが歌うチャントのメロディーが頭から離れなかった。改めて、アメイジング・グレイスって深い曲だと思った。



加藤雅也の死については、過去に旧ふっとぼうずで書いたが、改めてこちらのブログに移植しておく
加藤雅也:夭折

ちなみに余談になるが、加藤雅也が亡くなった頃のJsGOALはかなりお固い編集方針を持っており、サポーターについてレポートで言及することは一切まかりならん、というスタンスを取っていた。Jリーグの公認ファンサイトという立場を厳密に捉えていたのである。だから加藤雅也の死をめぐるサポーターや選手の発言はレポートの中からは全てカットされてしまった。本当にがっかりした。ただ、そういうスタンスだったJsGOALは、今は大きく変質しており、サポーターとともにあるのだというスタンスを前面に出している。そもそも人が集まる空間があるとして、そこに集う人にドラマがあって、それこそがつたえるべき本質である。得点経過だけを追っても、そのレポートに魂が込められていないのはみなさんわかるはず。ファンサイトとしてあるべき姿を見出しているんだろうと思う。



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