川崎フットボールアディクト創刊のお知らせ
ご存知の方も多いかとは思いますが、JsGOALが1月末をもって更新を終了し、新サイトの方に統合される事となりました。
Jリーグの取材情報を記事として公開する場として、本当にお世話になってきました。
JsGOALには感謝の気持ちしか無いのですが、そのJsGOALもホームゲームのみの取り扱いということで情報の半分は出せないという状況があったため前から川崎フロンターレ専用のニュースサイトを立ち上げようとは考えていました。
今回、いろんなタイミングが一致して、Webマガジンという形で、サイトを立ち上げる事になりました。声をかけていただき、クラブ側にも理解していただき了解をもらえました。掛け持ちもOKだと言われていたJsGOALの統合による運用の停止は想定外でしたが、そんな動きの中でできたのが川崎フットボールアディクトというサイトになります。
立ち上がりは両チームとも落ち着いた入りだった。ミスで簡単に失点する事をまずは恐れる。そうした大一番にありがちな固い入りだった。ただ、共に守備的にスタートした試合は、浦和側の消極性がゆえに均衡を失うこととなる。
そうした試合展開から、浦和が鹿島との戦力差を恐れ、真っ向勝負に出ることを拒否しているように見えた。もしかしたら、それが決勝戦というものの怖さなのだろうとも思った。ただ、それにしても腑に落ちない戦い方だった。彼らの戦いは、あまりにも消極的に過ぎた。
浦和はハーフラインから先ではプレスを掛けず、鹿島の攻撃を自陣に引いて凌ぐような戦いを見せる。そして鹿島のミスに付け込み、カウンターを狙う。そんな戦いぶりからはタイトルへの強い気持ちが見えた。しかし彼らにそこまで守備的に戦いタイトルを狙うだけの必要性があったのかというと疑問がある。降格圏でもがく現状の中、手にしたタイトルのチャンスをものにしたい気持ちが強いのだとすればそうなのだろうが、それにしても平常心を失った戦いに見えていた。
とそんな事を考えながら、試合後の堀孝史監督の会見に目を通すと、どうやらチームとしてそうした戦いを志向していたわけではない事がわかった。堀監督は試合後にこんな事を述べている。
「今日の前半のゲームだとか、決勝の舞台ということで選手たちも積極的にゴールへ向かうという意識が強かったと思う」
監督がそう述べているのだから、実際にそうだったのだろう。ただ、前に出ることを意図しながらも浦和のファーストシュートが20分まで生まれなかった事を考えると、やはりチーム力としての差があったのだろう。ゴール前にまで迫る組織力で鹿島に劣っていたのだろう。そしてそんな考えを補強するかのように、掘監督は前記の発言に続いてこんな事を述べている。
「それで多少引っかけられてカウンターを食らうという形が、僕が思っていた以上に多かった」
浦和は前に出ようとする。しかし、立ち上がりの時間帯のがっちりと構築された鹿島の守備ブロックに対し、浦和はその攻撃を途中でカットされ、そこから鋭い反撃を受けた。そんなことの繰り返しが、浦和を自陣に引き戻らせる現象を招いたのであろう。
そして浦和はそのまま主体的かつ組織的に攻める手立てを見つけられないまま時間を消費していく。鹿島が複数の選手が絡み、エリア内にまで攻め込んでいた攻撃を見せていたのとは対極の、選手個々の個人能力による単発の攻撃に終始したのである。そうした戦いに、浦和が今季抱えている難しい現状がはっきりと現れていた。
試合後に堀監督の会見を読むまでは「浦和はなぜ前に出ていかなかったのだろうか」と考えていた。しかし、彼らはそれをやろうとしてできなかったのである。そういう認識に立てば、鹿島の守備戦術の完成度の高さと浦和の組織力のなさとを総合的に考えた上で、妥当な試合結果だったのだろう。要するに鹿島は強かったのである。試合途中での退場劇を考慮してもなお、それ以上でもそれ以下でもないと、そう考えるべき試合だったのだろう。
と、まあ、そんな事はさておき、東城穣主審の笛は厳しかった。最近はカードがかなり減っているという印象があったのだが、この試合に関しては簡単に出しすぎており、ぼくの記憶が正しければ06年以前の笛に戻ったという印象である。満員の国立という舞台に、浦和と同じく平常心を失ってしまったのかもしれない。選手が感じるプレッシャーを遙かに凌駕したものがこの日の東城主審に降り掛かっていたのだろう。ただ、普段のJの舞台での東城主審の笛は嫌いではない。彼の、ここからの巻き返しに期待したい。
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