23 12月 2011

清水エスパルスユース、大榎克己監督が語るサッカー教育論




 2011Jユースカップ 決勝トーナメント 準決勝のセレッソ大阪U-18戦で1−5と大敗した清水エスパルスユースの大榎克己監督のコメントが印象深かったです。監督は「ユースで4年目で、今年ほど成長の著しい一年はなかった。意識が変われば変わるんだなと思いました。エスパルスに来てはじめてチームらしいチームでした」と大敗の結果を受け止めて、穏やかに語っていました。



 Jクラブ傘下のユースチームというと、高校サッカーとの比較で、サッカーだけをやっているという印象もありますが、そこを大榎監督は変革したと言います。

「来た当初は胸ぐらをつかんだ選手も居ましたが今は生活に気を使わずに済むようになりました。意識改革が進んだからということもある。クラブと学校と家庭とがうまく行かないとダメ。伊達部長と(ユースの選手が通う)14校の学校訪問をしました」

 そんな細やかなケアがあり、生活習慣の面で指導者として気を使うこともなく、サッカーに打ち込む事ができたのだといいます。そしてそんな選手は、自らサッカーと向き合い、自分に何が必要なのかを考えるようになるのだという。

「サッカーというのは戦術面だけ教えてよくなるものではない。サッカーを考える力、哲学が必要になる。そういうものがないと、教わるだけになる。自分の中のサッカーの位置づけが成長して行かない」

 そしてそんな大榎監督が選手たちにはなす実例が、岡崎慎司のケースなのだそうです。

「例に出すのは、岡崎慎司です。サッカーに対して貪欲で、サッカーのために何をするべきなのかがわかっている。それはすばらしかったですね」

 大榎監督に話を伺っている間中感じていたのがサッカーチームの監督という存在ではなく、サッカーという競技を通じて子どもたちを教育する教育者としての風格でした。非常に物腰が柔らかく、そして理路整然と思いを口にするその話しぶりを見ていて、選手たちもそれは付いていくなぁと感じ入った次第です。

 ちなみに大榎監督は今のエスパルスでの経験を通じ、1つの伝統を残したいと話していました。

「エスパルスはこうだというものを築きたい。学生である以上、学校が優先。クラブが優先だとは思いません。いつもトップクラスの成績を、とは言いませんが、最低限のレベルはクリアして欲しいと思います」

 あの語り口で指導されたら、しっかりとした伝統が身につくんじゃないかと思いますね。



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