川崎フットボールアディクト創刊のお知らせ

ご存知の方も多いかとは思いますが、JsGOALが1月末をもって更新を終了し、新サイトの方に統合される事となりました。
Jリーグの取材情報を記事として公開する場として、本当にお世話になってきました。

JsGOALには感謝の気持ちしか無いのですが、そのJsGOALもホームゲームのみの取り扱いということで情報の半分は出せないという状況があったため前から川崎フロンターレ専用のニュースサイトを立ち上げようとは考えていました。

今回、いろんなタイミングが一致して、Webマガジンという形で、サイトを立ち上げる事になりました。声をかけていただき、クラブ側にも理解していただき了解をもらえました。掛け持ちもOKだと言われていたJsGOALの統合による運用の停止は想定外でしたが、そんな動きの中でできたのが川崎フットボールアディクトというサイトになります。


我思う、ゆえに我蹴る。アンドレア・ピルロ自伝
アンドレア・ピルロ (著)
アレッサンドロ・アルチャート (著)
沖山ナオミ (翻訳)
1600円+税 東邦出版

もっとクールで退屈な内容のものを想像していたが、想像を超えるぶっちゃけぶりが良かった。

あまりのぶっちゃけぶりに、大久保嘉人の顔が頭に思い浮かぶほど。大久保はとにかく豪快で、自分が喋った事が多少の誇張も含めて新聞記事になったとしても全くクレームをつけることがない。そしてそれはプレー面でも同じで、移籍初年度の2013年シーズンは、とにかく自分にパスを出せとチームメイトに要求。それでボールをロストしたら、責任はオレが取るとまで見栄を切る。そしてそこまでチームメイトに要求してボールを引き出し、パスワークの担い手のひとりとして風間サッカーの根幹を成してきた。

そんな足一本でのし上がってきた選手特有の豪快さを持つ大久保と同じ匂いがこの本から漂ってきた。

ぶっちゃけばなしの一例として上げられるが、早熟がゆえの苦悩。時に上手すぎる選手は、人からの妬みの対象になりうるということが彼の実体験として描かれていて興味深かった。

そしてそんなピルロに対する妬みが、ちょっとだけリリイ・シュシュのすべての中で描かれている女子の妬みに似ていて脳裏をよぎった。こちらの映画は後味が悪すぎるので、今更見ることは勧めないが。

妬みと悩みの中で始まった大人の世界との邂逅を消化したピルロは、徐々に饒舌となる。チームメイトとの遠征先でのイタズラやロッカールームでのエピソードはイタリアでのプロサッカー選手の日常生活が垣間見えてきて面白い。

例えば、チームメイトのゲン担ぎについて記した「ジンクス」では、ジラルディーノの古いスパイクの話や、インザーギでのロッカールームでの臭い儀式などが面白おかしく記されている。また、けが人が出かねないセバスティアーノ・ロッシのゲン担ぎなどは狂信的なレベル。

サッカーの取材をしているとゲン担ぎについて聞くことは多いが、今売り出し中の谷口彰悟は、ゲン担ぎをしないと話していて面白かった。自分を縛ることになるそうした迷信を持ちたくないのだという。

イタリアサッカーでの負の部分、例えばユベントスの八百長事件や、暴力的なサポーターや人種差別についても記されている。

例えばサポーターの暴力については

僕がうんざりするのは、クラブ間でのライバル心に憎悪が加わり、野蛮で下劣な行為が頻繁に生じていることだ。
との書き出しで、実際に経験した暴力的な被害の一例を率直に書いている。

人種差別についてはバロテッリについてのエピソードが記されている。

代表監督のプランデッリが彼に与えたアドバイスは素晴らしい。

「スタンドからリスペクトに欠けた声が聞こえてきたら、そいつらのところに駆け寄ってハグしてやるといい」
人種差別に対し、抱きしめて対処するというのは先日つぶやいたゴトビ監督の対応と同じ。欧米でのハグの位置付けが垣間見えてくる。



優等生タイプの選手は絶対に踏み込まない領域についてもしっかりと自説を述べているのは立派だった。

なお、この本が日本語の出版物だからということではないのだろうが、プレイステーションや漢字など、うっすらと日本の話が出てくるのがまた嬉しい。

訳者である沖山ナオミさんご自身がピルロ自身にメールで問い合わせるなどして書き上げた一冊。ブラジルワールドカップにて、代表引退を公言しているイタリア人トッププレーヤーのメンタリティを知る意味でも、本大会前にぜひどうぞ。





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