1470円 ベースボール・マガジン社
サッカーマガジンにて約7年に渡り連載してきた原稿をまとめただけあって、その年月の間の中村憲剛の成長が伝わってきて面白い。
実力的にはすでにフロンターレの中心選手だった中村憲剛が、精神的にもチームの柱となり、そして日本代表の中村憲剛へと成長し、南アフリカワールドカップに出場する。そんな中村の原点は父親からもらったという「感謝・感激・感動」の言葉に凝縮されている。
日常的に中村を取材させてもらってきたが、ある日、ある作家さんからサッカーに関するある書籍を手渡されたことがあった。その時の無邪気に喜ぶ姿はまさに「感謝・感激・感動」。そしてそうした気持ちは、謙虚さにつながっているように思える。
もちろんフロンターレの選手になるまでは、全国的には全くの無名選手だったという背景も謙虚さの理由になっているのだろう。高校選手権に出てなくても、練習生から契約を勝ち取ったという経歴であっても、プロサッカー選手として大成し、日本代表選手にまで上り詰めることができる実例を自ら示しているという点でも、彼の生き方は多くの方に知ってもらいたい部分である。
本書の終盤にこんな言葉が出てくる。
「元々、プライドがないので(笑)」
誤解なきよう説明すると、これは自分のサッカーのプレースタイルを決めたり、それに固執することがないという前向きな質問に対する答えである。
中村は、ボランチはやったこと無いのに出来ますと言ったり、トップ下からボランチへのコンバートを受け入れたり。そうやって与えられた変化をチャンスだと受け止め、前向きに取り組むことで自らの道を切り開いてきた。だからこそ、この言葉は、中村自身の人生にもつながっているように感じられ印象に残った。
現在フロンターレを率いる風間八宏監督は、ポジションだとかシステムに全く頓着しない姿勢を貫いている。それぞれの選手の特性を組み合わせ、最もハマるスタイルでうまくプレーする事を選手たちに求めている。中村のスタンスは、そんな風間監督のスタイルにも合っているように感じる。
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